顧問制度とは何か?【基本の定義】
顧問制度の定義
顧問制度とは、企業が外部の専門家と契約を結び、経営・技術・法務・財務などの分野でアドバイスを受ける制度です。顧問は正社員ではなく、契約ベースで企業に助言を提供します。
顧問制度の最大の特徴は、必要な時に必要な専門知識を活用できる柔軟性にあります。正社員として雇用するよりも低コストで、経験豊富な専門家の知見を得られるため、スタートアップから大企業まで幅広く活用されています。
顧問と社員・取締役の違い
| 項目 | 顧問 | 社員 | 取締役 |
|---|---|---|---|
| 雇用形態 | 契約ベース | 雇用契約 | 委任契約 |
| 法的責任 | 契約で定めた範囲 | 労働契約法による保護 | 善管注意義務・忠実義務 |
| 報酬 | 顧問料(月額または成果報酬) | 給与 | 役員報酬 |
| 働き方 | 柔軟(月数回のミーティングなど) | フルタイム | 取締役会への出席など |
| 契約期間 | 通常1年(更新可能) | 無期雇用または有期雇用 | 通常1〜2年 |
顧問制度の歴史的背景
日本における顧問制度は、高度経済成長期から存在していましたが、当時は退職した役員の肩書として使われることが多く、実質的な業務はほとんどありませんでした。
しかし、2000年代以降、スタートアップやベンチャー企業の増加により、顧問制度の本来の意義が見直されるようになりました。特に、経営経験やノウハウを持つ専門家を外部から招聘し、企業の成長を加速させる手段として注目されています。
最近では、林尚弘氏(武田塾創業者・『令和の虎』二代目主宰)のように、名の知れた経営者が自分の顧問サービスを公式サイトで公開する例も出てきました。顧問制度は「肩書」から「実務で頼れる外部の力」へと、使われ方が変わってきています。
林社長(林尚弘氏)の顧問制度【令和の虎・二代目主宰】
林尚弘氏とは
林尚弘氏は、予備校「武田塾」の創業者で、現在は株式会社FCチャンネル代表取締役です。林顧問の公式サイトの経歴によると、2018年からYouTube『令和の虎CHANNEL』に出演し、2022年に株式会社FCチャンネルを設立しています。2026年6月のプレスリリースでは『令和の虎』二代目主宰として紹介されています。
公式サイトで案内されている林顧問の内容
林氏の顧問サービス「林顧問」の公式サイト(2026年10月24日確認)では、次のように案内されています。
- 契約数:「現在顧問数160社以上契約中」
- サービスの中心:月に1回の林氏とのお茶(経営相談)。人の紹介や交流会など、お茶以外のサポートもあり得るとしています
- 料金:「だいたい月50万円」。年間一括だと少し安くなり、詳しくは面談時に案内
- 対象:月商100万円以上がすでにある、1→10や10→100にしたい経営者向け
- 申し込み:フォームから申し込み、審査に通ると初回15分のZoom面談
- 顧問先同士の交流:3か月に1回、顧問飲み会を開催
- 業種:不動産・IT・建設・建築・SNS・店舗系など
公式サイトのよくある質問には「顧問先で結果が出てないところは?」に対して「全然あります」との回答もあり、成果を約束するサービスではない点も明記されています。料金や募集状況は変わることがあるため、申し込む前に公式サイトで最新の内容を確かめてください。
出典:林顧問 公式サイト(2026年10月24日確認)/PR TIMES「『令和の虎』二代目主宰・林尚弘氏…「令和の虎 経営塾」をリスタート」(2026年6月)
林顧問の評判や応募の流れは、林顧問の評判・料金は?林尚弘の顧問制度【2026年最新版】で詳しく紹介しています。
令和の虎の出演者の顧問制度
令和の虎の公式サイトにも「顧問制度」のページがあり、番組に出演する経営者・投資家の顧問サービスが一覧で紹介されています(教育・飲食・美容・テクノロジー・投資など)。林氏以外の出演者の顧問制度は、令和の虎の顧問まとめ|林・宮迫・ヒカル【2026年最新版】で料金と内容を比べています。
出典:令和の虎【公式サイト】顧問制度(2026年11月3日確認)
顧問制度の5つのメリット
メリット1:専門知識の即時活用
顧問制度の最大のメリットは、必要な専門知識を即座に活用できる点です。
例えば、資金調達を考えている企業が財務顧問を雇えば、すぐに資金調達戦略を立案できます。正社員を採用して育成する時間が不要なため、スピード感が全く違います。
メリット2:コスト効率の高さ
正社員を雇用する場合、給与に加え、社会保険料・福利厚生費・オフィススペースなどのコストがかかります。
一方、顧問は業務委託などの契約で、必要な頻度・範囲の分だけ報酬を払う形にできます。雇用ではないため会社側の社会保険料や福利厚生費はかからず、コスト効率の高い選択肢になります。金額は顧問の専門性や稼働頻度で個別に決まります。
メリット3:柔軟な契約形態
顧問契約は、企業のニーズに合わせて柔軟にカスタマイズ可能です。
- 月1回のミーティング:まずは小さく始めたい場合
- 週1回のミーティング:課題を集中的に進めたい場合
- チャット等での常時サポート:日々の判断にも関わってほしい場合
また、契約期間も3ヶ月〜1年など、企業の状況に応じて設定できます。
メリット4:人脈・ネットワークの活用
経験豊富な顧問は、広範な人脈・ネットワークを持っています。
顧問を通じて、新規取引先の紹介、投資家の紹介、優秀な人材の紹介など、ビジネスチャンスが広がります。
特に、スタートアップ企業にとっては、顧問の人脈が資金調達や事業拡大の鍵となることが多いです。
メリット5:客観的アドバイス
社員や取締役は、社内の事情に縛られがちですが、顧問は外部の立場から客観的にアドバイスできます。
経営判断において、社内では言いにくいことや見落としている視点を顧問が指摘することで、より良い意思決定が可能になります。
顧問制度の種類【5つのタイプ】
ここでは代表的な5つのタイプを紹介します。営業顧問・IT顧問・海外事業顧問など全10種類の詳しい解説は顧問の種類一覧をご覧ください。
経営顧問
役割:経営戦略の策定、事業計画の立案、組織改革、M&A支援など
報酬:個別見積(企業規模・課題の難易度・稼働頻度で決まる)
向いている企業:
- 創業間もないスタートアップ(経営ノウハウが不足)
- 事業の転換期にある企業(新規事業進出、M&Aなど)
- IPOを目指す企業(上場準備のノウハウが必要)
技術顧問
役割:技術戦略の策定、新製品開発支援、技術的課題の解決、品質管理など
報酬:個別見積(専門性の高さ・関与範囲で決まる)
向いている企業:
- IT・ソフトウェア開発企業(技術的な壁にぶつかっている)
- 製造業(新技術導入や品質改善が必要)
- 研究開発型スタートアップ(専門知識が不足)
法務顧問
役割:契約書のチェック、法的リスクの回避、コンプライアンス体制の構築、訴訟対応など
報酬:個別見積(弁護士報酬は自由化されており、各事務所が報酬基準を定めています)
向いている企業:
- 契約業務が多い企業(取引先との契約リスクを減らしたい)
- 海外展開を考えている企業(国際法務が必要)
- IPOを目指す企業(法令遵守体制が必須)
人事顧問
役割:人事制度の設計、採用戦略の立案、労務管理、組織開発など
報酬:個別見積(相談の範囲・頻度で決まる)
向いている企業:
- 急成長中の企業(組織体制の整備が急務)
- 人材不足に悩む企業(採用力を強化したい)
- 労務トラブルを抱える企業(労務管理の専門知識が必要)
財務顧問
役割:資金調達支援、財務戦略の策定、予算管理、投資家対応など
報酬:個別見積(月額固定のほか、調達額に連動する成果報酬型もある)
向いている企業:
- 資金調達を計画している企業(VCや銀行との交渉が必要)
- 財務体質を改善したい企業(キャッシュフロー管理が重要)
- M&Aを検討している企業(財務デューデリジェンスが必要)
報酬の決まり方と契約形態
報酬相場の実態
顧問報酬は当事者間の契約で決まり、税理士・弁護士と同様に業界統一の公定料金は廃止されています。全国一律の公式な相場データは存在しないため、金額は顧問の専門性・稼働頻度・関与範囲を踏まえて個別に取り決めることになります。契約前に稼働日数・成果物・報告頻度を書面で確認してください。
金額を左右する5つの要素
見積もりを比べるときは、金額そのものより「何に対して払うのか」をそろえて比べるのがコツです。
- 専門性と実績:同じ分野でも、上場準備や資金調達など難しい課題を経験した人ほど高くなりやすい
- 稼働の頻度と時間:月1回の面談か、週1回の定例か、チャットで随時相談できるか
- 関与の範囲:助言だけか、資料作成・人の紹介・社内会議への参加まで含むか
- 成果報酬の有無:固定額だけか、売上の伸びや調達額に連動する部分があるか
- 契約期間:単発の相談か、半年〜1年の継続契約か
著名人・経営者の顧問サービス
経営者やインフルエンサーが、個人として顧問サービスを公開する例もあります。料金や募集の条件は本人の発信で変わることが多いため、申し込む前に必ず本人の公式サイトや公式アカウントで最新の条件を確かめてください。
公式サイトで条件を確かめられた例としては、上で紹介した林顧問(公式サイトで「だいたい月50万円」と案内・2026年10月24日確認)があります。そのほかの方の顧問制度は、次の個別記事で紹介しています。
- ヒカルの顧問制度|入江巨之氏と10社限定【2026年最新版】
- 入江巨之の顧問制度|ヒカルと10社限定【2026年最新版】
- 青汁王子(三崎優太)の顧問制度と就任先【2026年最新版】
- ホリエモン(堀江貴文)の顧問活動【2026年最新版】
- 中村泰二郎の顧問制度|経歴と料金の確認【2026年最新版】
- 東将大の顧問制度|内容と申込方法【2026年最新版】
- 南忠則の顧問制度|みなみ会の内容と料金【2026年最新版】
- 上野山光雄の顧問制度|料金と支援内容【2026年最新版】
- 森泰輝・れいのゼロ円顧問とは【2026年最新版】
価格帯ごとの比べ方は顧問制度の料金12事例|公表条件を比較【2026年最新版】にまとめています。
契約形態の種類
月額固定報酬型(月額で決める形)
- 毎月決まった額を支払う
- 稼働時間に関わらず固定額
- 企業側は予算が立てやすい
時間制報酬型
- 1時間あたりの単価×実際の稼働時間で支払う
- 単価は顧問ごとに異なるため事前に確認する
- スポット的な相談に向いている
成果報酬型
- 売上・利益の増加分や資金調達額に、契約で決めた割合を掛けて支払う
- 何を「成果」とするか(計算の基準・期間)を契約書で明確にする
- 顧問の成果が直接報酬に反映
ハイブリッド型
- 月額固定+成果報酬を組み合わせる(例:月額の固定部分に、売上増加分の一定割合を上乗せ)
- 顧問のモチベーション維持に効果的
契約期間
- 短期契約(3ヶ月〜6ヶ月):特定のプロジェクトに対するアドバイス
- 中期契約(1年):成果を見ながら更新を判断しやすい期間
- 長期契約(2年以上):継続的な経営支援が必要な場合
支払い形態ごとの考え方や源泉徴収の扱いは、顧問報酬の相場と決め方・源泉徴収【2026年最新版】で詳しく解説しています。顧問を受ける側の収入は顧問の年収・給料にまとめています。
導入の流れ【5ステップ】
ステップ1:自社の課題を明確化
まず、何のために顧問が必要かを明確にします。
- 資金調達を成功させたい → 財務顧問
- 新規事業を立ち上げたい → 経営顧問
- 技術的な壁を乗り越えたい → 技術顧問
- 法的リスクを回避したい → 法務顧問
ステップ2:顧問の選定
顧問を探す方法は以下の通りです:
- 顧問マッチングサービス:顧問バンク、ビザスク、サーキュレーションなど
- 紹介・人脈:知人の経営者、投資家からの紹介
- SNS:LinkedIn、X(Twitter)で専門家を探す
ステップ3:初回面談・条件交渉
顧問候補と面談し、以下を確認します:
- これまでの実績・経験
- 自社の課題に対する解決策の提案
- 稼働時間・頻度(月何回、何時間)
- 報酬額・支払い方法
ステップ4:契約書の作成
契約書に必ず含めるべき項目:
- 契約期間(開始日・終了日)
- 業務内容(具体的な役割)
- 報酬額・支払い方法・支払い時期
- 稼働時間・頻度
- 責任範囲・免責事項
- 秘密保持義務
- 契約解除条項
ステップ5:定期的なフォローアップ
契約後は、定期的にミーティングを行い、成果を測定します:
- 月次ミーティング(進捗確認・課題共有)
- 四半期ごとの成果レビュー
- 契約更新時の総合評価
よくある失敗例と対策
失敗例1:責任範囲が曖昧
問題:顧問の責任範囲が不明確で、期待と実際の業務にギャップが生じる
対策:契約書で業務内容・責任範囲を具体的に明記する
失敗例2:期待値のミスマッチ
問題:企業側が「すぐに売上が上がる」と期待したが、実際は長期的な改善だった
対策:初回面談で成果の出るタイミングを明確にする
失敗例3:顧問を活用しきれない
問題:契約したが、ミーティングの時間を取れず、顧問を有効活用できない
対策:定期ミーティングをカレンダーに事前登録し、優先度を高く設定
失敗例4:報酬が高すぎる
問題:市場相場を知らずに高額な報酬で契約してしまった
対策:複数の顧問候補と面談し、相場を把握する
失敗例5:契約解除のトラブル
問題:成果が出ないため契約解除したいが、契約書に解約条項がない
対策:契約書に解約予告期間(1〜3ヶ月)を明記する
まとめ:今、顧問制度を始めるべき5つの理由
人を1人雇うより小さな負担で、経験のある専門家の力を必要な分だけ借りられる。顧問制度は、人手が足りず、変化の速い今だからこそ使いたい仕組みです。2026年時点の公表データをもとに、始めるべき理由を5つにまとめました。
今、顧問制度を始めるべき5つの理由
- 人手不足が続いている:帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査(2026年7月)」(2026年8月17日公表)では、正社員が不足していると感じる企業は51.3%で、7月としては4年連続で5割を超えました。経験者を正社員で採るのが難しいときこそ、外部の顧問が頼りになります。
- スタートアップへの資金の流れが続いている:Speeda(ユーザベース)の集計では、2025年の国内スタートアップの資金調達総額は7,613億円(デット除く・前年とほぼ横ばい、2026年1月公表)、2026年上半期は3,779億円で前年同期比12%増でした(2026年7月23日公表。Sakana AIを除くと2%増)。政府も2022年11月28日に「スタートアップ育成5か年計画」を決めています。資金を得た後の成長期は、経営・財務の顧問が力を発揮しやすい場面です。
- オンラインで顧問に頼みやすい:国土交通省「令和7年度テレワーク人口実態調査」(2026年3月24日公表)では、雇用型就業者のうち直近1年間にテレワークをした人は16.8%(前年度より1.2ポイント増)でした。遠方の専門家ともオンラインで定例を組めます。
- 名の知れた経営者も顧問サービスを公開している:林尚弘氏の林顧問は、公式サイトで「現在顧問数160社以上契約中」と案内しています(2026年10月24日確認)。外部の経営者に月単位で相談する形は、すでに選択肢の一つになっています。
- 必要な分だけ柔軟に契約できる:月1回の相談から週1回の定例まで、頻度・範囲・期間を自社に合わせて決められます。合わなければ契約期間の区切りで見直せるのも、正社員採用にはない利点です。
最初の一歩
顧問制度を導入する際は、まず自社の課題を明確にすることが重要です。その上で、適切な顧問を選定し、契約内容を詳細に詰めることで、成功確率が高まります。「どんな顧問が合うのか分からない」という段階でも、遠慮なくご相談ください。
顧問をお探しの企業様へ:まずは無料でご相談ください
課題をうかがい、合いそうな顧問・アドバイザーをご紹介します。相談は無料です。
ご自身で顧問先を探したい企業様へ
顧問制度.comに掲載中の顧問を、分野ごとに見比べられます。
顧問として活動したい方へ
プロフィールを掲載すると、記事を読んだ企業の方から直接お問い合わせが届きます。掲載は月額制で、問い合わせごとの課金はありません。
この記事で参照した公表資料
- 帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2026年7月)」2026年8月17日公表
- Speeda スタートアップ情報リサーチ「選別と延長戦が進む──2025年スタートアップ資金調達動向」2026年1月19日公開
- Speeda スタートアップ情報リサーチ「総額増の裏で深まる選別――2026年上半期スタートアップ資金調達動向」2026年7月23日公開
- 内閣官房「新しい資本主義実現会議(第13回)」2022年11月28日(スタートアップ育成5か年計画のとりまとめ)
- 国土交通省「令和7年度のテレワーク人口実態調査結果」2026年3月24日公表
- 林顧問 公式サイト(2026年10月24日確認)
本記事の監修
齊木祐介(ASI株式会社 代表取締役)— 顧問制度・経営支援を含む複数事業を統括し、実務で得た知見をもとに本サイトの情報を監修しています(運営:ASI株式会社)。