「顧問を入れたい」の前に — 種類を間違えると費用が無駄になる

「うちも顧問を入れよう」と考えたとき、最初にぶつかる壁が「どの種類の顧問を入れるべきか」です。

この判断を誤ると、毎月の顧問料が成果につながりません。たとえば「売上を伸ばしたい」という課題に経営顧問を入れたが、実際に足りなかったのは営業の人脈だった——という食い違いは起こりがちです。

顧問と一口に言っても、本記事では経営顧問・法務顧問・税務顧問・技術顧問・営業顧問など10種類に分けて整理します。種類によって役割・報酬の決まり方・契約形態が異なります。

それぞれの種類について「何をしてくれるのか」「報酬はどう決まるのか」「どんな企業に向いているのか」「入れるべきサインは何か」を解説します。自社に必要な顧問の種類を見極める材料にしてください。

顧問の大分類 — 内部顧問と外部顧問の決定的な違い

10種類の詳細に入る前に、顧問の大分類を押さえましょう。すべての顧問は「内部顧問」と「外部顧問」のどちらかに属します。

分類 内部顧問 外部顧問
主な就任者 元社長・元役員・退任した経営幹部 弁護士・税理士・技術者・経営コンサルタント
強み 社内事情・取引先関係・企業文化に精通 専門知識・客観性・外部ネットワーク
リスク 院政問題(経営への過度な影響力) 社内事情の理解に時間がかかる
報酬の参考 平均年間報酬 常勤675万円・非常勤498万円(2010年調査の当時の値・産労総合研究所調べ) 個別見積(種類・稼働頻度・関与範囲で決まる)
契約形態 嘱託(雇用)契約・委任契約など(雇用なら社会保険の対象になりうる) 業務委託契約(個人への報酬は源泉徴収10.21%、1回100万円超の部分は20.42%)
近年の動き 上場企業では退任した社長等の相談役・顧問の状況を開示する欄ができ、見直す会社が出ている 必要な分野だけ外部の専門家と契約する形

出典:産労総合研究所「役員報酬の実態に関するアンケート調査」(2010年9〜11月調査・回答151社、定期刊行誌『賃金事情』より。プレスリリースの保存版)。15年以上前の調査のため、今の水準とは異なる可能性があります。源泉徴収の税率は国税庁の基準です。

2018年1月から、上場企業が東京証券取引所に出す「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」に、代表取締役社長等を退任した人が相談役・顧問などに就いている状況を書く欄ができました(記載は任意。名古屋証券取引所「相談役・顧問等の開示に関するご質問と回答」2017年8月2日)。 たとえば東芝は、2015年4月に不正会計問題が明らかになった当時、相談役・顧問が17人いましたが、2016年6月の株主総会で「取締役会の決議によって相談役を置くことができる」とする定款の条文を削除し、相談役制度を廃止しました(nippon.com「『相談役』この不思議な存在」2018年5月8日)。

一方、外部顧問は必要な分野の専門家とだけ契約できる形です。本記事では主に外部顧問の10種類を中心に解説します。内部顧問(相談役)との詳しい比較は顧問と相談役の違いをご覧ください。

顧問10種類の全体像 — 一覧比較表

まず全体を俯瞰します。自社の課題に該当する種類を確認したら、後述の各セクションで詳細を確認してください。

種類 主な役割 主な担い手 向いている企業
1. 経営顧問 経営戦略・事業計画・組織改革 経営者経験者・コンサルタント 全ての成長志向企業
2. 法務顧問 契約書・紛争予防・コンプラ 弁護士 契約が多い企業・リスク管理
3. 税務顧問 節税・決算・税務申告 税理士 全法人(最も基本)
4. 技術顧問 技術戦略・設計・採用 CTO経験者・エンジニア IT企業・DX推進中の企業
5. IT顧問 DX推進・システム選定 ITコンサルタント・情報システム経験者 IT部門がない中小企業
6. 営業顧問 販路開拓・人脈紹介 営業部門・取引先に人脈のある経験者 新規開拓を強化したい企業
7. 人事・労務顧問 採用戦略・労務管理 社会保険労務士・人事経験者 急成長中・労務問題あり
8. 財務・M&A顧問 資金調達・企業買収 財務・M&Aの専門家(仲介者・FAなど) IPO準備・M&A検討中
9. 海外事業顧問 海外進出・現地法規制 進出先の実務経験者 海外展開を検討中
10. マーケティング顧問 ブランディング・集客 マーケティング経験者 売上拡大・ブランド構築

※顧問報酬は自由化されており、公的な統一料金表はありません。実際の金額は種類・経験・稼働量により個別に見積もりを取って比較してください。

1. 経営顧問 — 社長の「壁打ち相手」であり戦略パートナー

経営顧問とは何をする人か

経営顧問は企業の経営戦略・事業計画・組織改革について助言する、最も広範な顧問です。社長にとっての「壁打ち相手」であり、孤独な意思決定に客観的な視点を入れる役割を担います。

具体的な業務例:

  • 中長期経営計画の策定・進捗レビュー
  • 新規事業の事業性評価(Go/No-Go判断の支援)
  • 幹部候補の育成・経営チーム組成の助言
  • 金融機関・投資家との交渉への同席
  • 事業承継計画の策定

公表されている例

経営者個人が経営顧問のサービスを公表している例として、林尚弘氏の「林顧問」があります。本人の公式サイトでは「現在顧問数160社以上契約中」、料金は「だいたい月50万円です。年間一括だと少し安くなります」と案内され、対象は最低でも月商100万円以上の方とされています(林顧問 公式サイト、2026年10月24日確認)。条件は変わることがあるため、最新の内容は本人の公式発信で確認してください。

中小企業では、他社の経営経験者や金融機関の出身者などが経営顧問を務める形もあります。

報酬の決まり方

比べる観点 確認すること 月額
稼働頻度 月何回・1回何時間の面談か、面談以外の相談(チャット・電話)を含むか 個別見積
関与範囲 助言だけか、会議への出席・資料作成・金融機関や投資家との面談同席まで含むか 個別見積
経験の分野 自社と同じ業種・規模・成長段階での経験があるか 個別見積

経営顧問の報酬に公的な相場データはなく、金額は稼働頻度・関与範囲で個別に決まります。見積もりでは上の3点をそろえて比べてください。

経営顧問を入れるべきサイン

  • 社長が「相談できる相手がいない」と感じている
  • 売上が頭打ちで、何を変えればいいかわからない
  • 事業承継や後継者育成が差し迫っている
  • 資金調達やIPOを検討し始めた

2. 法務顧問(顧問弁護士)— トラブルになる前に相談できる体制をつくる

法務顧問とは何をする人か

法務顧問は企業の法的リスク管理を担います。多くの場合、弁護士が「顧問弁護士」として就任します。

法務顧問は「保険」に近い性質があり、問題が起きる前に契約しておくことで、契約書の確認や労務の相談を早い段階で受けられます。

具体的な業務内容

  • 契約書レビュー:取引基本契約、業務委託契約、秘密保持契約(NDA)のチェック・修正
  • 労務トラブル対応:解雇・ハラスメント・残業未払いへの法的対応
  • クレーム・紛争対応:顧客・取引先とのトラブルの法的整理
  • コンプライアンス:社内規程の整備、コンプラ研修の実施
  • 知的財産管理:商標登録、特許戦略の助言

報酬の決まり方と公表データ

弁護士の報酬は、2004年4月1日に日本弁護士連合会の報酬等基準規程が廃止され、各弁護士が定める形になっています。そのうえで日弁連が全国の弁護士に行ったアンケート(2009年度)では、中小企業との顧問契約の月額顧問料は次の結果でした。

顧問料の範囲に含める業務 回答の多かった月額顧問料 回答数
電話・FAX・メール等で、調査なしにすぐ答えられる相談まで 5万円(45.7%)、3万円(40.0%) 105
相談方法や調査の有無にかかわらず、月3時間程度の相談まで 5万円(52.7%)、3万円(33.5%) 182

出典:日本弁護士連合会「アンケート結果に基づく中小企業のための弁護士報酬の目安(2009年度アンケート結果版)」2010年3月(PDF)。当時の値で、今の金額は事務所ごとに異なります。

訴訟や契約書作成など顧問料の範囲を超える業務は、別に費用がかかるのが一般的です。顧問料の範囲に何が含まれるか、範囲を超えたときの扱いを、契約書で確認してください。

法務顧問を入れるべきサイン

  • 取引先と交わす契約書が増えてきた
  • 常時10人以上の従業員を使用するようになった(就業規則の作成・届出が必要になる)
  • 新規事業で法規制が不明な分野に参入する
  • 一度でも訴訟・クレームで痛い目に遭った

3. 税務顧問(顧問税理士)— 全法人が最初に契約すべき基本中の基本

なぜ税務顧問が「最初の一歩」なのか

日本の法人は毎期の決算と税務申告が欠かせません。自社で行うことも不可能ではありませんが、税理士に任せることで申告の誤りを防ぎ、使える制度を見落としにくくなるのが税務顧問の役割です。

具体的な業務内容

  • 月次の記帳指導・経理チェック
  • 決算書の作成、法人税・消費税の確定申告
  • 節税対策の提案(役員報酬最適化、経費計上、減価償却など)
  • 税務調査への対応・立会い
  • 年末調整、償却資産税申告の代行
  • 資金繰り表の作成支援

報酬の見積もりで確認すること

費目 金額が変わる要因 金額
月額顧問料 年商規模、取引量、面談の頻度 個別見積
決算・申告料(年1回) 法人税・消費税の申告の範囲、決算書作成の手間 個別見積
記帳代行 仕訳の数、自社で入力するか任せるか 個別見積
年末調整・償却資産の申告など 従業員数、資産の数 個別見積

注意:月額顧問料に何が含まれるかは事務所ごとに異なります。記帳代行や消費税申告が別料金の事務所もあるため、契約前に年間の総額で比べてください。

4. 技術顧問(CTO顧問)— CTOの知見を必要な分だけ借りる

技術顧問とは何をする人か

技術顧問は企業の技術戦略・システムアーキテクチャ・エンジニア採用について助言する顧問です。CTOをフルタイムで採用すると、給与に加えて社会保険料や採用コストなど固定的な人件費が継続的に発生しますが、技術顧問なら必要な稼働分だけ契約できます。報酬は稼働頻度・関与範囲で個別に決まります。

具体的な業務内容

  • 技術選定の意思決定支援(「この規模でマイクロサービスは早い」等の判断)
  • コードレビュー・アーキテクチャレビュー
  • エンジニア採用面接への同席・技術力評価
  • セキュリティ対策の監修
  • AI・クラウドなど新技術の導入判断
  • 開発チームの生産性改善・プロセス導入

技術顧問の活用の仕方

たとえば基幹システムの入れ替えでは、ベンダーに丸投げせず、技術顧問に要件の整理や見積もりの妥当性の確認、内製する範囲の判断を手伝ってもらう使い方があります。

詳しい選び方はCTO顧問の選び方と活用法をご覧ください。

技術顧問を入れるべきサイン

  • CTOが不在で、技術的な意思決定を誰も判断できない
  • 開発が遅れているが、原因がわからない
  • エンジニアの採用面接で技術力を評価できる人がいない
  • 「このまま技術負債を放置して大丈夫か」と不安がある

5. IT顧問 — 「ITに詳しい人が社内にいない」を解決する

IT顧問と技術顧問の違い

混同されやすいですが、IT顧問は非IT企業向け、技術顧問はIT企業向けと考えるとわかりやすいです。

項目 技術顧問(CTO顧問) IT顧問
対象企業 IT企業・ソフトウェア開発企業 非IT企業(製造・小売・飲食・士業等)
主な業務 コードレビュー・設計・技術選定 業務システム選定・ベンダー交渉・IT予算策定
典型的な相談 「このアーキテクチャで100万ユーザーに耐えるか」 「会計ソフトを何にすべきか」「テレワーク環境をどう作るか」
月額 個別見積(稼働頻度・関与範囲で決まる) 個別見積(稼働頻度・関与範囲で決まる)

IT顧問の具体的な業務

  • 業務システム(ERP・CRM・会計ソフト)の選定・導入支援
  • IT投資の優先順位づけ・予算策定
  • ITベンダーの見積もり比較・交渉代行
  • 情報セキュリティ対策(ランサムウェア対策など)
  • テレワーク環境の構築・運用ルール策定

IT顧問を入れるべきサイン

  • 「ITベンダーの言いなりで高い見積もりを受け入れている気がする」
  • 社内にIT担当者がいない or 1人で兼務している
  • ランサムウェア・情報漏洩が心配だが何をすべきかわからない

6. 営業顧問 — 「人脈」という、他の顧問にはない武器

営業顧問が他の顧問と決定的に違う点

営業顧問は唯一、「知識」ではなく「人脈」が最大の提供価値である顧問です。大手企業の元役員、元銀行支店長、元商社部門長などが、自身のネットワークを活かして取引先を紹介します。

報酬体系の特殊性

営業顧問は他の種類と異なり、成果報酬型の契約が多い点が特徴です。

報酬体系 メリット デメリット
月額固定型 顧問が腰を据えて活動する 成果が出なくても費用が発生
成果報酬型 成果がなければ費用ゼロ 大型案件で報酬が膨らむ
ハイブリッド型 バランスが取れている 計算が複雑になる

※報酬水準(相場)は成果報酬率・固定額とも顧問ごとの個別交渉によるため、公的な統一料金表はありません。

営業顧問選びの最大の注意点

営業顧問は「人脈がある」と言っても、自社の求める紹介に結びつくとは限りません。契約前に以下を必ず確認してください。

  • 過去に具体的にどの企業を紹介した実績があるか(社名は出せなくても業界・規模は聞ける)
  • 紹介ではなく「アポイント取り」だけを行う顧問もいる——自社が求めるのはどちらか
  • お試し期間(1〜3ヶ月)で成果が出なければ解約できる条件を付ける

7. 人事・労務顧問 — 「従業員10人の壁」を越えるために

なぜ「10人」が分水嶺なのか

常時10人以上の労働者を使用する会社は、就業規則を作成して労働基準監督署に届け出る義務があります(労働基準法第89条)。人数が増えると、残業管理、有給管理、ハラスメント対応など、経営者が片手間で対応するのは難しくなります。

2つの種類:社労士型 vs コンサルタント型

タイプ 担い手 月額 得意分野
社労士型 社会保険労務士 個別見積(従業員数・手続きの量で決まる) 社会保険手続き、就業規則、助成金申請
コンサルタント型 元人事部長・CHRO 個別見積(関与範囲・期間で決まる) 採用戦略、人事制度設計、組織開発

手続き・コンプラ系は社労士、攻めの採用・組織改革はコンサルタント、と使い分けるのが最適です。

8. 財務・M&A顧問 — 「一生に一度の判断」を間違えないために

財務・M&A顧問が必要な場面

資金調達、M&A(企業買収・合併)、IPO(株式上場)——これらは企業にとって「一生に一度」レベルの重大判断です。経営者自身に経験がないことも多く、専門家の助言なしに進めるのはリスクが高い判断です。

報酬体系の特殊性 — レーマン方式

M&Aの仲介者・FA(ファイナンシャル・アドバイザー)の成功報酬は、レーマン方式(Lehman Formula)で計算されることが多く、中小企業庁のガイドラインは次の表を「一例」として示しています。

基準となる価額 乗じる割合 例: 3億円のM&Aの場合
5億円以下の部分 5% 3億円 × 5% = 1,500万円
5億〜10億円の部分 4% —
10億〜50億円の部分 3% —
50億〜100億円の部分 2% —
100億円超の部分 1% —

出典:中小企業庁「中小M&Aガイドライン(第3版)」2024年8月、「レーマン方式の一例」(PDF)。ガイドラインは「あくまで一例であり、各階層における価額・割合は各仲介者・FAにより異なる」としています。3億円の例は、基準となる価額を3億円とした場合の計算です。

同ガイドラインによると、手数料には着手金・月額報酬(リテーナーフィー)・中間金・成功報酬などの形があり、請求するかどうかは仲介者・FAによって分かれます。基準となる価額を譲渡額・移動総資産額・純資産額のどれにするかで報酬額が大きく変わり、最低手数料を設ける仲介者・FAも多いため、計算の基準と最低手数料を契約前に確認してください。

9. 海外事業顧問 — 現地を知る人間がいないまま進出するのは危険

海外事業顧問が必要な理由

海外進出では、現地の法規制・商慣習・文化を理解していないと致命的な失敗を犯すリスクがあります。「日本での成功体験をそのまま持ち込んで失敗する」は海外進出の典型的パターンです。

具体的な業務内容

  • 進出先の市場調査・事業性評価
  • 現地法規制・許認可の確認(食品衛生法、労働法、税制の違い)
  • 現地パートナー・代理店の紹介・デューデリジェンス
  • 現地法人の設立支援
  • 駐在員向けの異文化マネジメント研修

報酬の決まり方

金額は対象国、関与範囲(調査だけか、現地での交渉・設立手続きまで同行するか)、期間で個別に決まります。進出の準備期間だけのプロジェクト契約にするか、継続の顧問契約にするかも含めて、見積もりをそろえて比べてください。

10. マーケティング顧問 — 「良い商品なのに売れない」を解決する

マーケティング顧問の役割

マーケティング顧問はブランド戦略・集客施策・PR戦略を支援します。「商品は良いのに認知されていない」「広告費をかけているのに成果が出ない」という課題に対して、戦略レベルから見直します。

具体的な業務内容

  • ブランドポジショニング・ターゲット設定の策定
  • デジタルマーケティング戦略(SEO・リスティング広告・SNS運用)の立案
  • PR戦略・メディアリレーション
  • 顧客分析・CRM戦略の構築
  • マーケティングチームの育成・KPI設計

報酬の決まり方

金額は助言だけか、広告運用やチームの指導まで担うかといった関与範囲と稼働頻度で個別に決まります。固定の月額に加えて、成果に連動した報酬を組み合わせる契約もあるため、成果の定義(何をもって成果とするか)を契約前に決めておいてください。

あなたの企業に必要な顧問は? — 課題別の判断基準

「結局、うちにはどの顧問が必要なのか?」を判断するための早見表です。上から順にチェックしていき、最初に当てはまる項目がまず優先すべき顧問の種類です。

こんな状況なら 必要な顧問 見積もりで確認すること 優先度
法人設立したばかりで決算が初めて 税務顧問 記帳代行・決算申告料が顧問料に含まれるか 最優先
常時10人以上の従業員を使用する(またはその見込み) 人事・労務顧問 就業規則の作成・手続き代行の範囲 最優先
取引先と交わす契約書が増えてきた 法務顧問 顧問料の範囲に含まれる相談時間・契約書確認の件数 高
経営の方向性を相談できる相手がいない 経営顧問 面談の頻度と、会議出席・資料作成まで含むか 高
CTOがいないが技術的な判断が必要 技術顧問 コードレビュー・採用面接の同席まで含むか 高
ITベンダーに言われるがまま投資している IT顧問 ベンダー比較・交渉の同席まで含むか 中
営業力が弱く、大手企業との接点がない 営業顧問 固定報酬か成果報酬か、成果の定義 中
資金調達・M&A・IPOを検討中 財務・M&A顧問 着手金・月額報酬・成功報酬の有無と計算の基準 状況次第
海外展開を具体的に計画している 海外事業顧問 現地での同行・手続き支援まで含むか、契約期間 状況次第
良い商品はあるが認知・集客に課題 マーケティング顧問 助言だけか、運用・指導まで担うか 中

どの種類も金額は稼働頻度・関与範囲で個別に決まります。複数の候補に同じ条件で見積もりを頼み、上の項目をそろえて比べてください。

顧問の効果を測定する — 種類別KPI一覧

「顧問を入れたが効果がわからない」とならないよう、契約時にKPIを設定し、3ヶ月ごとに振り返ることで、顧問料が投資として機能しているかを判断できます。

顧問の種類 測定すべきKPI 目標の立て方の例
経営顧問 売上成長率、利益率、計画達成率 自社の事業計画の数値に合わせ、期限つきで決める
法務顧問 契約トラブル件数、訴訟リスク解消件数 契約書を交わす前に確認を通す件数・割合を決める
税務顧問 節税額(前年比)、税務調査での指摘件数 申告期限の厳守と、指摘事項の再発防止を決める
技術顧問 開発リードタイム、障害件数、採用成功率 今のリリース間隔・障害件数を測ってから改善幅を決める
営業顧問 紹介件数、商談化率、成約金額 紹介の件数と、紹介先の業種・規模を契約前に合意する
人事顧問 採用充足率、離職率、労務トラブル件数 前年の離職率・採用充足率を基準に改善幅を決める
マーケティング顧問 リード獲得数、CVR、ブランド認知度 今のリード数・CVRを測ってから改善幅を決める

目標の数字は、業種や今の水準によって適切な値が変わります。顧問と相談し、自社の現状を測ったうえで決めてください。

顧問選びの失敗パターン3選 — こうなったら契約を見直すべき

失敗1:種類のミスマッチ

「売上を伸ばしたい」→ 経営顧問を入れた → しかし実際に足りなかったのは営業の人脈だった。経営戦略は立派だが実行に至らない。

回避策:契約前に「顧問に何をしてほしいか」を3つの具体的なアクションに落とし込む。「戦略が欲しい」のか「紹介が欲しい」のかを明確にする。

失敗2:稼働実態がない「名前だけ顧問」

毎月の顧問料を払っているが、連絡は月1回の短い電話だけ。実質的な助言がほとんどない。

回避策:契約書に最低稼働時間(月○時間)を明記する。月次で「今月の活動報告」を書面で提出させる。

失敗3:複数顧問の意見が対立

技術顧問AはAWSを推奨、技術顧問BはGCPを推奨。経営顧問は「コスト重視」、営業顧問は「スピード重視」。意見が割れて意思決定が停滞する。

回避策:最終判断権は必ず社長に留保する。顧問はあくまで「助言者」であり、意思決定権は与えない。

まとめ — 顧問の種類選びは「課題の特定」から始まる

顧問の種類選びで最も重要なのは、自社の課題を正確に言語化することです。

  • 本記事では顧問を10種類に整理した。種類によって役割・報酬の決まり方・得られる助言が異なる
  • 多くの会社で最初の相談先:税務顧問+法務顧問(守りの基盤)
  • 成長企業に推奨:上記+経営顧問または技術顧問(攻めの投資)
  • 契約時にKPIを設定し、3ヶ月のお試し期間で効果を検証する
  • 「名前だけ顧問」を防ぐため、最低稼働時間と活動報告を契約書に明記する

顧問制度の全体像については顧問制度とは?を、顧問と相談役の違いは顧問と相談役の違いを、報酬の詳細は顧問料金・報酬の相場をあわせてご確認ください。

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本記事の監修

齊木祐介(ASI株式会社 代表取締役)— 顧問制度・経営支援を含む複数事業を統括し、実務で得た知見をもとに本サイトの情報を監修しています(運営:ASI株式会社)。