「定年後はどう生きるか」——多くのビジネスパーソンが抱えるこの問いに対して、「顧問」というキャリアパスが選択肢の一つになっています。

長年の業界経験、経営層とのネットワーク、豊富な修羅場経験——これらは年齢を重ねるほど希少価値が高まる資産です。顧問という働き方はその資産を最大限に活かし、組織に縛られずに自分のペースで社会に貢献し続けることを可能にします。

本記事では、40代・50代・60代それぞれのステージで顧問キャリアをどう構築するか、その戦略と具体的な行動計画を徹底解説します。

この記事で分かること
  • なぜ今「顧問」という働き方が注目されているのか
  • 顧問に向いている人の5つの特徴
  • 40代・50代・60代別のキャリア設計ロードマップ
  • 顧問として求められるスキルセット
  • 案件獲得チャネルと収入の計算の型、2026年の制度変更

まず顧問という職種の基本を確認したい方は、「顧問とは?役割・責任・選び方を徹底解説」もあわせてご覧ください。

1. なぜ今「顧問」が注目されているのか

「顧問」という働き方が注目される背景には、寿命の延び、企業の人手不足、オンラインで働ける環境の広がりといった社会構造の変化があります。

1-1. 人生100年時代の到来

厚生労働省「令和7(2025)年簡易生命表」によると、日本人の平均寿命は男性81.35年・女性87.33年で、65歳時点の平均余命は男性19.68年・女性24.52年です(厚生労働省 令和7年簡易生命表の概況、2026年10月24日確認)。65歳で会社を離れても、平均して20年前後の時間が残ります。

退職後も「社会に関わり続けたい」「自分の知識を活かし続けたい」というニーズは非常に高く、顧問という形態はその要望にぴったり合致します。フルタイムの雇用形態ではなく、自分のペースで複数社に関わることができるのが最大の特徴です。

1-2. 中小企業・スタートアップの人材不足

帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2026年7月)」によると、正社員が不足していると感じる企業は51.3%で、7月としては4年連続で5割を超えました(調査期間2026年7月17〜31日、対象 全国2万2,350社。2026年8月17日公表)。大企業のように専門部署を持てない中小企業にとって、月数回の関与で専門知識と人脈をもたらす顧問は、常勤の採用とは別の選択肢になります。

特にデジタル化・DX推進・海外展開・資金調達などの課題は、社内に経験者がいないことが多く、経験のある顧問が力を発揮しやすい領域です。

1-3. マッチングプラットフォームの普及

かつては顧問契約は「知人の紹介」が中心でしたが、今は顧問マッチングサービスや顧問を紹介する記事メディアが増え、面識のない企業と出会う道が広がりました。顧問制度.comをはじめ、ビザスク・i-common・顧問バンクなど複数のサービスがあり、登録から案件獲得までの流れが用意されています。

市場規模の数字について
顧問・副業顧問の市場規模や登録企業数の伸びについて、公的機関がまとめた統計は見当たりません。サービス各社が公表する数字は集計方法がそれぞれ異なるため、比べるときは出典と集計時点を確認してください。

1-4. リモートワーク普及による働き方の変化

国土交通省「令和7年度のテレワーク人口実態調査」によると、雇用型就業者のうち直近1年間にテレワークをした人の割合は16.8%(前年度比+1.2ポイント)でした(2026年3月24日公表)。オンライン会議が仕事の手段として残ったことで、顧問活動の多くもオンラインで進められるようになりました。Zoomでのミーティング、オンラインでの資料共有、チャットツールでのコミュニケーションを使えば、地方在住者でも離れた地域の企業の顧問を務められます。

2. 顧問に向いている人の特徴5つ

顧問という働き方が自分に向いているかどうかを判断するための、5つの特徴を紹介します。

特徴1:業界経験20年以上の深い専門知識

顧問として最も重要な資産は長年の実務経験から生まれる深い専門知識です。表面的な知識ではなく、「なぜうまくいかないのか」「どうすれば解決できるか」を直感的に判断できるレベルの経験が求められます。

特定の業界・職種で20年以上のキャリアがある方は、その経験そのものが希少価値の高い資産となります。

自己チェックポイント
「この分野で10〜20年の実務経験があり、後輩や部下に指導した経験がある」——この条件に当てはまるなら、顧問としての基礎資質は十分にあります。

特徴2:経営層・意思決定者とのネットワーク

顧問の価値は知識だけではありません。「誰を知っているか」という人脈も大きな価値となります。取引先の社長、業界団体の幹部、投資家、行政の担当者——こうした人脈は、クライアント企業が自力では築きにくい繋がりです。

特に新規事業立ち上げ・資金調達・海外展開・業界規制対応などの場面で、「適切な人を紹介できる」顧問は非常に高い評価を受けます。

特徴3:他者の課題を整理・解決に導く力

顧問に求められるのは「答えを提供する」だけではありません。クライアントが自分では気づけていない課題を整理し、解決の方向性を示す力が重要です。これはコーチングやファシリテーションのスキルと重なる部分があります。

「相手の話を聞いて、問題の本質を掴む力」——これは管理職や経営者として部下・後輩の相談に乗ってきた経験から自然に身につくスキルです。

特徴4:自律的に仕事を管理できる自己管理能力

顧問は雇用されるわけではないため、納期・品質・スケジュール管理をすべて自分で行う必要があります。複数社の顧問を同時に務める場合は、それぞれの情報を混同しないよう徹底した情報管理も必要です。

また、顧問契約は成果が見えないと更新されにくいため、「やりきる責任感」と「セルフモチベーション」が長期的な活躍の鍵になります。

特徴5:学び続ける好奇心と適応力

ビジネス環境は常に変化しています。AIの台頭、規制の変化、市場トレンドの変化——「自分の知識はもう時代遅れかもしれない」という謙虚さと、学び続ける意欲こそが、50代・60代の顧問が長く活躍するための最重要資質です。

特にデジタルリテラシー・AI活用・ESG対応などは、最新の動向を継続的にキャッチアップしておく必要があります。

向いていない人の特徴
  • 成果を出すまでのプロセスを細かく管理されたい方
  • 単一の専門分野しかなく、横断的な視点が苦手な方
  • 収入の波に精神的に耐えられない方
  • 自分の過去の成功体験に固執し、新しい変化を拒む方

3. 年代別キャリア設計:40代・50代・60代のロードマップ

顧問としてのキャリア構築は、年代によって戦略が大きく異なります。それぞれのステージに合った最適なアプローチを紹介します。

3-1. 40代:副業顧問でスタートする

40代は本業のピークと重なることが多く、顧問活動は「副業として少量からスタートする」のが賢明です。本業でのポジションを維持しながら、徐々に顧問としての実績を積み上げていきます。

40代の行動ロードマップ

時期 やること 目標
40〜42歳 自分の専門性と強みを棚卸し。顧問マッチングサービスに登録。SNS発信開始。 自己認識の確立
42〜45歳 月1〜2社の副業顧問案件を受注。報酬は業務範囲と稼働時間から自分で見積もり、実績をプロフィールに反映。 最初の継続契約と実績の獲得
45〜49歳 副業顧問2〜3社に拡大。専門分野のブランディングを強化。人脈をシステマティックに管理。 紹介で案件が来る状態づくり
40代の重要ポイント
会社の就業規則で副業が禁止されていないか確認してから始めましょう。厚生労働省は「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(令和4年7月改定)を公表し、モデル就業規則にも副業・兼業の規定を設けています(厚生労働省 副業・兼業)。あわせて、顧問活動が競業避止義務に抵触しないかも確認が必要です。

3-2. 50代:本業と並行して顧問キャリアの基盤を構築する

50代は顧問キャリアにとって「準備に向いた時期」です。本業でのポジション・人脈・実績を持ちながら、定年後・独立後に備えた準備を並行して進められます。

50代の行動ロードマップ

時期 やること 目標
50〜53歳 専門特化領域を1〜2分野に絞り込む。顧問プロフィールを本格的に整備。副業顧問2〜3社に拡大。 専門ブランドの確立
53〜57歳 LinkedIn・SNSでの情報発信を本格化。書籍・メディア寄稿・登壇などでの権威づけ。 業界での認知度向上
57〜60歳 退職後のキャッシュフロー計画を立案。顧問の契約書・税務・保険などの独立準備を開始。 独立への具体的準備
50代が見落としがちなこと
  • 現職のネームバリューに依存しすぎず、「個人ブランド」を意識した活動を
  • 退職後に名刺の会社名がなくなることを想定した準備が必要
  • デジタルリテラシーのアップデートを怠らない(特にAI活用)

3-3. 60代:フル顧問として独立する

60代はいよいよ「フル顧問として独立する」ステージです。定年退職・早期退職後に複数社の顧問を束ねる形で収入を確立します。

60代の行動ロードマップ

フェーズ やること 目標
独立直後(0〜6ヶ月) 前職人脈からの紹介案件を優先的に受注。顧問マッチングサービスへの本登録・プロフィール最適化。 最初の1〜2社との継続契約
安定期(6ヶ月〜2年) 3社程度の継続顧問契約を確保。単価交渉を実施。紹介ネットワークの拡大。 生活費をまかなえる契約の組み合わせ
成熟期(2年以降) 高単価案件へのシフト。後輩顧問のメンタリングなど付加価値の多様化。 得意分野を絞った契約への入れ替え
60代独立の心構え
独立後の最初の6ヶ月は「種まきの時期」と割り切ることが大切です。すぐに高単価案件を期待するより、まず信頼と実績を積むことを優先しましょう。退職金や年金で生活費を確保しながら、焦らずキャリアを構築することがポイントです。

4. 顧問として求められるスキルセット

顧問として長く活躍するには、専門知識だけでなく多様なスキルが求められます。ここでは特に重要な4つのスキル領域を紹介します。

4-1. 経営知識・ビジネス全体観

顧問に求められる最も基本的なスキルは、経営全体を俯瞰する視点です。財務・マーケティング・組織・オペレーションの各機能がどう連動しているかを理解し、クライアントの課題をビジネス全体の文脈で捉える力が必要です。

  • 財務読解力:P/L・B/S・CFの基本読解、KPI設定と管理
  • 戦略思考:SWOT分析・ポーターの5F・バリューチェーン分析など
  • プロジェクト管理:WBS・ガントチャート・リスク管理の基礎
  • 法務基礎知識:契約書のレビュー、コンプライアンスの基本理解

4-2. デジタルリテラシー

現代の顧問にとってデジタルリテラシーは必須です。特に生成AIツールの活用能力は、資料作成や情報整理の速さに直結します。

  • 基本ツール:Zoom/Teams(会議)、Google Workspace / Microsoft 365(資料共有)、Slack(コミュニケーション)
  • データ分析:Excelの基本関数・ピボットテーブル、Google Analyticsの読解
  • AI活用:ChatGPT・Claude等の生成AIを業務に活用する能力
  • SNS活用:X(Twitter)・LinkedIn・noteでの情報発信と顧客獲得
デジタルリテラシー学習の優先順位
まずZoom・GoogleスプレッドシートなどのBasicツールを完全に使いこなせるようにしましょう。次にChatGPTの実務活用(資料作成・議事録整理・メール文書作成)を身につけると、クライアントへの提供価値が大幅に向上します。

4-3. プレゼンテーション・説明力

顧問の仕事は「知識を持っている」だけでは不十分です。その知識をクライアントが理解・納得・行動できる形で伝える力が成否を分けます。

  • スライド作成:1枚1メッセージの原則、ビジュアル化のコツ
  • 口頭説明:結論から話すピラミッド構造、具体例と数値の活用
  • レポーティング:月次レポートで進捗と成果を簡潔に伝える能力
  • 説得力:データに基づいた根拠と、感情に訴えるストーリーのバランス

4-4. 傾聴力・コーチング力

顧問として最も見落とされがちなスキルが「傾聴力」です。クライアントが何を悩んでいるのか、どこに本当の課題があるのかを引き出すには、話すより聴く力が重要です。

  • アクティブリスニング:相手の発言を要約・反映して深く理解する技術
  • 質問力:オープンクエスチョンで思考を促す問いを立てる能力
  • 共感力:経営者・担当者の心理的プレッシャーを理解する姿勢
  • フィードバック力:相手が受け取りやすい形で指摘・提案する技術

5. 顧問としての名刺・パーソナルブランディング

独立後の顧問にとって「自分をどう見せるか」は収入に直結する重要テーマです。会社名という後ろ盾がなくなる分、個人ブランドを意図的に構築する戦略が必要になります。

5-1. 顧問としての名刺設計

名刺は「顧問として何ができる人か」を瞬時に伝えるツールです。以下の要素を盛り込むことで、印象に残る名刺になります。

要素 悪い例 良い例
肩書き 経営顧問 製造業DX顧問 / Sales Strategy Advisor
専門分野 (記載なし) 製造業の生産効率改善・海外展開支援
実績一言 (記載なし) 支援した社数や成果を、確認できる実数で一言(例:「◯社の生産管理改善を支援」)
連絡先 電話のみ 電話+メール+LinkedIn URL

5-2. SNSを活用したパーソナルブランディング

デジタル時代の顧問は、オンライン上での「顔」が重要です。特に以下のプラットフォームは顧問活動と相性がよい媒体です。

  • LinkedIn:ビジネス向けのSNS。経歴・実績・推薦文を充実させると、企業からの直接スカウトが来ることも。
  • X(Twitter):業界の最新情報発信・有識者とのネットワーク形成に有効。継続的な発信でフォロワーを増やすと顧問としての認知度が上がる。
  • note:長文のノウハウ記事や事例紹介を公開することで、専門性を示す「ポートフォリオ」として機能する。
  • YouTube:セミナー内容や専門解説動画を投稿することで、話すスキルと専門知識を同時にアピールできる。
SNS発信の継続のコツ
完璧を目指さず、週2〜3回の発信を継続することが重要です。「今週学んだこと」「クライアント支援で気づいたこと(守秘義務に配慮して)」など、日常から発信ネタを見つける習慣をつけましょう。発信の効果はすぐには出にくいため、まず数か月続けてから反応を見直すのがおすすめです。

6. 案件獲得チャネル:4つのルート

顧問として安定した収入を得るには、複数の案件獲得チャネルを持つことが重要です。特定のチャネルに依存するとリスクが高まるため、以下の4つのルートをバランスよく活用しましょう。

6-1. 顧問マッチングサービス・エージェント

最も手軽に案件を探せるのが、顧問マッチングサービスです。プロフィールを登録するだけで企業からオファーが届く仕組みで、特に顧問活動を始めたばかりの方に適しています。

サービス名 特徴 向いている顧問タイプ
顧問制度.com 顧問を探す企業向けの記事メディアにプロフィールを掲載(月額制・問い合わせ課金なし) あらゆる分野の顧問
ビザスク スポットコンサル型、1時間単位 特定テーマの専門家
i-common 審査あり、大手企業案件中心 大企業経験者・高単価希望者
顧問バンク 中小企業向け案件が豊富 中小企業支援経験者

各サービスの詳しい比較は「顧問登録サイト比較|料金・手取りの違い【2026年最新版】」をご覧ください。

6-2. 人脈・紹介ルート

最も質の高い案件が集まるのが人脈・紹介ルートです。前職の同僚・後輩・取引先・業界団体の繋がりなど、これまでのキャリアで築いた人間関係が最大の財産になります。

  • 前職人脈:退職後も良好な関係を保つことが重要。「退職してからも応援したい」と思われる関係性を現役時代から築く
  • 同業者ネットワーク:同じ業界・職種の仲間とのコミュニティ参加。互いに案件を紹介し合う関係性を構築
  • OB・OG会:大学・前職のOBOGネットワークは意外と案件紹介が多い
  • 業界団体・勉強会:定期的な参加で新しい出会いと案件のタネを育てる

6-3. SNS・オンラインメディア経由

LinkedInやX(Twitter)で継続的に情報発信していると、企業の担当者・経営者から直接コンタクトが来ることがあります。特に「〇〇業界の課題」「〇〇の解決策」など具体的で有益な情報を発信することで、「この人に相談したい」と思わせることができます。

6-4. セミナー・登壇・書籍執筆

専門家としての権威を確立する最も効果的な手段がセミナー登壇と書籍執筆です。「〇〇の専門家」として名前を覚えてもらえると、案件の相談が来やすくなります。

  • 業界セミナー登壇:Peatixやconnpass等のイベントに登壇し、見込みクライアントに直接専門性を見てもらう
  • 企業内研修講師:専門分野の研修講師として関わり、その企業の顧問へ移行するきっかけになることもある
  • 書籍・電子書籍出版:専門知識をまとめた本は、専門性を示す材料になる
  • Webメディア寄稿:日経ビジネス・Forbes Japan・Diamond OnlineなどへのコラムでSEO効果と信頼性を得る

7. 顧問収入シミュレーション

顧問としての収入は、「1社あたりの月額報酬 × 契約社数」が基本構造です。顧問報酬は当事者間の契約で決まり、全国一律の公式な相場データはありません。ここでは計算の型を、仮の数字で示します。

7-1. 月90万円を目標にした場合の計算例(仮の数字)

前提:1社あたり月30万円・月4〜6時間で3社と契約できた場合(金額・時間は計算のための仮定で、相場ではありません)
契約先 顧問タイプ 月額報酬 稼働時間
A社(中堅製造業) 経営顧問 月30万円 月4〜6時間
B社(スタートアップ) 事業戦略顧問 月30万円 月4〜6時間
C社(中小EC企業) マーケティング顧問 月30万円 月4〜6時間
合計 月90万円 月12〜18時間

この前提なら、月の稼働は12〜18時間(週3〜4時間程度)です。実際の報酬額は専門分野・関与範囲・企業規模で大きく変わるため、自分が提示できる金額と、無理なく担える社数・時間を先に見積もり、そこから目標を逆算してください。

7-2. キャリアステージ別にやること

ステージ主な課題やること
スタート期実績がまだ少ない最初の継続契約を取り、成果を言葉と数字で残す
成長期案件の入口が限られる紹介・マッチングサービス・発信の複数ルートを持つ
安定期稼働時間の上限関与範囲と単価を見直し、無理のない社数に絞る
成熟期専門の深さで選ばれる得意分野を絞り、後進の育成など付加価値を足す

契約社数や報酬の目安について公表された統計はありません。金額は各社との見積りで決まります。

7-3. 税務・保険の基礎知識

独立後の顧問は個人事業主または法人(一人会社)として活動することが一般的です。収入が安定してきたら税務・社会保険について専門家に相談することを強くおすすめします。

  • 確定申告:年間の収入・経費を翌年3月15日までに申告(個人事業主の場合)
  • 消費税:基準期間(個人は前々年)の課税売上高が1,000万円を超えると課税事業者になる。1,000万円以下でも、インボイス発行事業者の登録をすると課税事業者として申告する
  • 国民健康保険:退職後は国民健康保険または任意継続保険に加入
  • 法人化のタイミング:所得の水準、社会保険料、事務の手間を含めて税理士と試算してから判断する

2026年に押さえておきたい制度の変更

  • インボイスの経過措置(顧問先の企業側):インボイス発行事業者でない人(免税事業者など)から受けたサービスの消費税について、企業が控除できる割合は2026年10月1日から80%→70%に下がりました。その後は2028年10月1日から50%、2030年10月1日から30%、2031年10月1日からは控除できなくなります。登録しない場合は、顧問先にとって負担が増える点を踏まえて報酬を話し合いましょう
  • 2割特例と3割特例(顧問本人側):インボイス登録を機に免税事業者から課税事業者になった個人事業者の場合、「2割特例」は令和8年分(2026年分)の確定申告まで使えます。その後、令和9年分・令和10年分は納付税額を売上税額の3割とする「3割特例」が使えます(基準期間の課税売上高1,000万円以下などの要件あり)
  • 在職老齢年金:会社に勤めて厚生年金に加入しながら老齢厚生年金を受け取る人は、賃金(賞与込み月収)と年金の合計が「支給停止調整額」を超えると年金の一部が止まります。この額は2026年度(令和8年度)に月51万円から65万円へ引き上げられました。業務委託で受け取る顧問報酬は厚生年金の「賃金」とは扱いが異なるため、雇用と顧問を組み合わせる場合は年金事務所で確認してください
  • フリーランス法:2024年11月1日施行の「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」により、従業員を使わない個人などに業務を委託する企業は、業務内容・報酬額・支払期日などを書面かメール等で示す義務があります。従業員を使う企業からの委託なら、報酬の支払期日はサービスを受けた日から60日以内、6か月以上の継続的な委託を解除・更新しない場合は原則30日前までの予告が必要です。契約条件の確認に役立ちます

出典:国税庁「令和8年度税制改正特集」・「インボイス制度に関するお知らせ(令和8年9月)」、厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」(2026年1月23日)、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(e-Gov法令検索)・公正取引委員会(いずれも2026年10月24日確認)

報酬相場の詳細は「顧問報酬の相場と決め方・源泉徴収【2026年最新版】」もあわせてご確認ください。

8. まとめ:今すぐ始めるキャリア構築アクション

顧問キャリアは「いつか」ではなく、「今日から」始めるものです。年代を問わず、まず小さな一歩を踏み出すことが重要です。

年代別・今すぐできるアクション

40代の方
  1. 自分の専門性と強みを箇条書きで20個リストアップする
  2. 顧問マッチングサービスに仮登録してプロフィールを作成する
  3. LinkedInのプロフィールを完成させる
50代の方
  1. 定年後の収支シミュレーションを作成する
  2. 週1回、業界関連のSNS発信を始める
  3. 信頼できる税理士・社労士と老後設計の相談を始める
60代の方・定年直前の方
  1. 顧問制度.comなどにプロフィールを掲載し、経歴・実績・得意分野を具体的に書き切る
  2. 前職の同僚・後輩に「顧問として独立した」と丁寧に連絡する
  3. 初回案件は報酬より実績を優先し、最初の1社を獲得する

次に読むべき記事

顧問として活動したい方へ:経験を必要とする企業に見つけてもらいましょう

プロフィールを掲載すると、記事を読んだ企業の方から直接お問い合わせが届きます。掲載は月額制で、問い合わせごとの課金はありません。

掲載プランを見る

顧問になるまでの流れは顧問になるための流れで確認できます。

本記事の監修

齊木祐介(ASI株式会社 代表取締役)— 顧問制度・経営支援を含む複数事業を統括し、実務で得た知見をもとに本サイトの情報を監修しています(運営:ASI株式会社)。