顧問の職業欄はどう書く?【結論】

Q. 顧問は職業欄に何と書けばいい?

A. 「顧問」または「経営コンサルタント(顧問)」と書くのが基本。書類に応じて以下を使い分けます。

  • 履歴書・職務経歴書 → 「○○株式会社 経営顧問」(会社名+肩書き)
  • 確定申告 → 「経営コンサルタント業」「顧問業」(事業の種類欄)
  • 名刺 → 「顧問」「経営顧問」「技術顧問」(組織の呼称に準拠)
  • 生命保険・住宅ローン → 「会社役員」「経営コンサルタント」または自由記述で具体化
  • 役所申請書 → 「自由業」「自営業」「専門職」(選択肢から最寄りを選ぶ)

顧問の職業欄でつまずく理由

顧問という立場は、会社員でも自営業でも経営者でもない、「中間的な働き方」です。そのため書類の職業欄に何と書くべきか、多くの顧問経験者が迷います。

本記事では、実際に顧問業を営む方が遭遇する場面(確定申告、履歴書、名刺、保険申込、ローン申込、年金手続、官公庁届出など)ごとに、そのまま使える書き方をテンプレートとともに解説します。

なぜ職業欄の書き方が曖昧なのか

  • 顧問は会社法上の役員ではないため「会社員」にも「会社役員」にも該当しない
  • 業務委託契約が多いため、税務上は「個人事業主」または「自由業」に近い
  • 複数社と契約していることが多く、特定の勤務先を書けない
  • 官公庁や金融機関のフォームに「顧問」の選択肢がないことが多い

履歴書・職務経歴書での書き方

基本パターン: 「会社名+肩書き」

履歴書の「現在の職業」欄には、最も関与度の高い会社名と肩書きを書くのが王道です。

記入例

  • 「株式会社ABC 経営顧問」(シンプル・推奨)
  • 「株式会社ABC 経営顧問 / 株式会社XYZ 技術顧問」(複数社)
  • 「各種企業顧問(3社)」(まとめて記載)
  • 「経営コンサルタント(複数企業の顧問)」(自由業扱い)

職歴欄での書き方

職歴欄では、期間と業務内容を具体的に記載します。以下のフォーマットが一般的です。

年月記載例
2023年4月〜現在 株式会社ABC 経営顧問に就任
(事業戦略策定・営業組織構築・M&A助言)
2022年10月〜2024年3月 株式会社XYZ 技術顧問(AI導入支援・CTO育成)
2020年4月〜現在 複数企業の経営顧問業(製造業3社、小売業1社)

転職時の職業欄記入のコツ

転職活動中に履歴書を書く場合、「顧問」という肩書きは以下の2点で評価されます。

  • 経営視点の保有: 役員に近い立場で戦略・組織・財務を見てきた経験
  • 外部者としての客観性: 自社内では得られない俯瞰視点・業界横断知見

そのため、単に「顧問」と書くより「月1回の経営会議に参加し、年商を1.5倍にするKPI設計を担当」のように、関与の深さ・成果を併記すると評価が高くなります。

確定申告・開業届での書き方

確定申告書B 第二表「事業の種類」欄

個人事業主として顧問業を営む場合、確定申告書B 第二表の「事業の種類」欄には以下のいずれかを記載します。

  • 「経営コンサルタント業」(最も一般的・推奨)
  • 「顧問業」
  • 「経営コンサルティング業」
  • 「専門サービス業」(他業種を兼ねる場合)

開業届の「職業」欄

税務署に提出する「個人事業の開業届」の職業欄にも同様の記載を行います。開業届の「事業の概要」欄には、より具体的に以下のように書きます。

事業の概要 記入例

「中小企業を対象とした経営顧問業務。月次経営会議への参加、中期経営計画の策定支援、営業戦略の立案、組織人事制度の整備、M&A・資金調達の助言を行う。」

業種コード・産業分類

確定申告書では業種コードを選択する場面があります。顧問業に該当するコードは以下の通りです。

分類体系コード名称
日本標準産業分類7282経営コンサルタント業、純粋持株会社
日本標準産業分類7299他に分類されない専門サービス業
個人事業税 業種第3種コンサルタント業(税率5%)
消費税 事業区分第5種サービス業(みなし仕入率50%)

顧問業の個人事業税に注意

経営コンサルタントとしての顧問業は「第3種事業」に分類され、年間所得290万円を超えると個人事業税(税率5%)の課税対象になります。所得400万円なら(400万-290万)×5%=5.5万円の事業税が発生します。事業税は必要経費になるため、翌年の所得税で差し引ける点も覚えておきましょう。

生命保険・住宅ローン・クレジットカード申込

金融機関が重視するのは「収入の安定性」

金融機関の審査では、職業名より「収入の継続性」「年収の安定性」が重視されます。顧問業は複数社と業務委託契約を結ぶことが多く、フリーランスや個人事業主と同じ枠で審査されるのが一般的です。

書類別の推奨記載

書類職業欄推奨記載提出添付書類
生命保険申込書 「自営業・経営コンサルタント業(顧問)」 確定申告書、所得証明
住宅ローン申込書 「経営コンサルタント業(個人事業主)」 確定申告書3年分、納税証明書
クレジットカード申込 「自由業」または「経営者」 原則不要(年収自己申告)
賃貸契約申込 「経営コンサルタント・会社顧問」 確定申告書、所得証明

顧問契約先が1社のみの場合

実質的に1社の顧問のみで生計を立てている場合、「○○株式会社 顧問(業務委託)」と具体的な会社名を記載したほうが、継続収入として認められやすくなります。契約書の写しを添付すると審査が通りやすくなります。

名刺・ビジネス文書での肩書き

会社から支給される名刺の場合

顧問契約先から名刺を支給される場合、肩書きは会社側が決定します。一般的な肩書きは以下の通りです。

  • 「顧問」(最もシンプル)
  • 「経営顧問」(業務領域を明示)
  • 「技術顧問」「CTO顧問」(技術領域)
  • 「相談役(顧問)」(OB・退任役員向け)
  • 「特別顧問」(元政治家・著名人向けの敬称)
  • 「名誉顧問」(創業家・功労者向け)

個人で作る顧問名刺

複数社の顧問を務めている方は、個人の名刺を別途用意するケースが増えています。屋号(個人事業主としての事業名)+肩書きで作ります。

個人名刺の肩書き例

  • 「経営コンサルタント / 各社顧問」
  • 「○○経営研究所 代表(経営顧問)」
  • 「複数企業 経営顧問(製造・小売・IT領域)」

英語表記

外資企業や海外取引で使う英語名刺では、以下の肩書きが一般的です。

  • Advisor(顧問・アドバイザー)
  • Senior Advisor(シニア顧問・特別顧問)
  • Strategic Advisor(戦略顧問)
  • Technical Advisor(技術顧問)
  • Management Consultant(経営コンサルタント)
  • Board Advisor(取締役会アドバイザー・社外アドバイザー)

年金・社会保険・健康保険の職業欄

国民年金・国民健康保険

国民年金・国民健康保険の加入者になる場合、手続書類の職業欄には以下のいずれかを記載します。

  • 「自営業」「個人事業主」+職業「経営コンサルタント」「顧問」
  • 「自由業」+職業「経営顧問」

厚生年金・社会保険

顧問契約先と雇用関係がある(給与所得として支払われている)場合は、勤務先企業の「顧問」として厚生年金・社会保険に加入します。業務委託契約の場合は厚生年金の対象外で、国民年金に加入します。

年金手帳・雇用保険の記載

年金手帳や雇用保険の被保険者証には、会社員時代の雇用情報のみが記載されます。顧問として業務委託で働いている期間は、これらの記録には反映されません。将来の年金計算のため、国民年金を確実に納付することが重要です。

シーン別「職業欄」記載テンプレ集

シーンおすすめ記載備考
履歴書(現職)○○株式会社 経営顧問1社のみならこの形
履歴書(複数社)各種企業顧問(3社)自由業としてまとめる
職務経歴書経営コンサルタント・顧問業領域を明示
確定申告書経営コンサルタント業事業の種類欄
開業届経営コンサルタント業(顧問業)職業欄
名刺顧問 / 経営顧問 / 技術顧問組織の呼称に準拠
生命保険申込自営業・経営コンサルタント収入証明を添付
住宅ローン申込経営コンサルタント業(個人事業主)3年分の確定申告書必要
クレジットカード申込自由業 / 経営者カード会社によって扱いが異なる
賃貸契約書経営コンサルタント・会社顧問所得証明を添付
国民健康保険申込自営業(経営コンサルタント)所得で保険料算定
役所各種申請書自由業 / 専門職 / サービス業選択肢から選ぶ
パスポート申請会社役員 or 会社員 or 自由業契約形態による
入国カード(海外渡航)Advisor / Consultant英語記載

顧問と役員・会社員の職業欄の違い

顧問・役員・会社員は、職業欄での表記が微妙に異なります。自分がどの立場か整理しておきましょう。

立場契約職業欄表記例社会保険
会社員雇用契約「会社員」+勤務先名厚生年金・健康保険
会社役員(取締役)委任契約「会社役員」+会社名厚生年金・健康保険
社外取締役委任契約「社外取締役」+会社名企業により異なる
顧問(雇用型)雇用契約「会社員(顧問)」厚生年金・健康保険
顧問(業務委託型)業務委託契約「自営業・顧問」国民年金・国保
相談役委任・業務委託「会社役員(相談役)」企業により異なる

顧問のうち約85%が業務委託型で、個人事業主または自由業として分類されるのが実態です。

職業欄の記載で注意すべきポイント

虚偽記載は絶対に避ける

生命保険や住宅ローンの審査で「会社役員」と記載したにもかかわらず、実態は業務委託型の顧問だった場合、告知義務違反として保険金不払いや契約解除になるリスクがあります。契約形態の実態に即した記載が原則です。

複数の立場を兼ねる場合は主要な立場を優先

「A社社員+B社顧問」のように兼業している場合、職業欄には主要な収入源(通常はA社社員)を記載し、副業として顧問業を行っていることを別途補足する方法が無難です。

記載の一貫性を保つ

確定申告・住宅ローン・保険・年金で記載内容が大きく乖離していると、後で照合された際に問題になります。一度決めた記載方針(例: 経営コンサルタント業)を各種書類で統一するのが賢明です。

よくある質問

顧問業の職業欄の書き方について、下部のFAQセクションで12問の詳細回答を掲載しています。

この記事のまとめ

  • 履歴書・職務経歴書 → 「○○株式会社 経営顧問」(会社名+肩書き)
  • 確定申告・開業届 → 「経営コンサルタント業」「顧問業」
  • 日本標準産業分類 → コード7282(経営コンサルタント業)
  • 金融機関(保険・ローン) → 「自営業・経営コンサルタント」+確定申告書添付
  • 名刺 → 「顧問」「経営顧問」「技術顧問」(組織呼称に準拠)
  • 虚偽記載NG、記載の一貫性を保つことが重要