林敏之社長に学ぶ顧問活用術【リンクアンドモチベーション成功の秘訣】
林敏之氏とリンクアンドモチベーションの軌跡
林敏之氏は、2000年にリンクアンドモチベーション(以下、リンクアンドモチベーション)を創業し、わずか20年余りで東証プライム上場企業へと成長させた日本を代表する経営者です。
林敏之氏のプロフィール
- 生年:1970年生まれ
- 学歴:早稲田大学政治経済学部卒業
- 職歴:リクルート入社後、2000年に独立・リンクアンドモチベーション創業
- 現職:株式会社リンクアンドモチベーション代表取締役会長
- 事業内容:組織人事コンサルティング、モチベーションエンジニアリング
1-1. リンクアンドモチベーションの成長軌跡
- 2000年:創業(資本金1000万円、社員3名)
- 2004年:売上10億円突破
- 2006年:東証マザーズ上場
- 2011年:売上100億円突破
- 2016年:東証一部上場
- 2022年:東証プライム市場へ移行
- 2024年:売上400億円超、社員2000名以上
1-2. 林氏の経営哲学「モチベーションエンジニアリング」
林氏は一貫して「個人と組織の持続的成長」をテーマに事業を展開してきました。その核となる考え方が「モチベーションエンジニアリング」です。
モチベーションエンジニアリングの3原則
- 期待理論:人は「努力すれば成果が出る」「成果を出せば報酬を得られる」と信じられるときにモチベーションが高まる
- 目標設定理論:明確で挑戦的な目標が人を動かす
- 公平理論:自分の努力と報酬のバランスが他者と比較して公平だと感じるときに満足度が高まる
林氏の顧問活用戦略【5つの特徴】
林氏は創業当初から外部専門家(顧問)を戦略的に活用してきました。その手法には明確な特徴があります。
2-1. 特徴①「弱点補完型」の顧問選定
林氏は自身の強みと弱みを冷静に分析し、弱点を補完できる専門家を顧問として招聘しました。
創業期の顧問構成(2000年~2005年)
- 財務顧問:公認会計士・税理士(林氏は営業・コンサル出身で財務が弱点)
- 法務顧問:弁護士(契約書・労務問題対応)
- IT顧問:元大手IT企業CTO(システム基盤構築)
- 人事顧問:大手企業元人事部長(採用・育成ノウハウ)
ポイント:創業者が得意なことは自分でやり、不得意なことは顧問に頼る明確な役割分担
2-2. 特徴②「実務家」顧問の重視
林氏は「理論家」よりも「実務家」を顧問として選びました。大学教授や評論家ではなく、実際にビジネスで成果を出した人物を重視しました。
実務家顧問の例
- IPO支援顧問:上場準備を3社以上経験したCFO経験者
- 営業顧問:大手企業で営業部長として年間100億円の実績を持つ人物
- マーケティング顧問:デジタルマーケティングで実績を出したマーケター
効果:具体的で即実践できる助言が得られ、成長スピードが加速
2-3. 特徴③「定例ミーティング」の徹底
林氏は顧問との定例ミーティングを必ず設定し、継続的な関係構築を重視しました。
定例ミーティングのルール
- 頻度:重要顧問は月2回、その他は月1回
- 時間:1回2時間(前半1時間で現状報告、後半1時間で課題相談)
- 事前準備:48時間前に議題・資料をメール送付
- 議事録作成:必ず議事録を作成し、次回までの宿題を明確化
効果:「困ったら連絡」では活用されない。定例化により小さな課題も早期相談でき、信頼関係が深まる
2-4. 特徴④「ストックオプション」でコミット確保
創業期の重要顧問には現金報酬+ストックオプションを提供し、長期コミットメントを確保しました。
ストックオプション設計例
- CFO顧問:月額30万円+SO 0.3%(上場時に約3000万円の価値)
- 技術顧問:月額20万円+SO 0.2%(上場時に約2000万円の価値)
効果:顧問が「他人事」ではなく「自分事」として会社の成長に貢献。上場時には顧問も大きな報酬を得て、Win-Winの関係を構築
💡 他の著名人顧問制度の料金相場も知りたい方へ
無料から月500万円まで、顧問制度の料金相場15事例【中小企業向け】で詳しく解説しています。
2-5. 特徴⑤「顧問の段階的卒業」システム
林氏は顧問を永続的に雇用するのではなく、役割が終わったら卒業させる仕組みを作りました。
卒業のタイミング例
- CFO顧問:正社員のCFOを採用できたら卒業(感謝の意を込めて退任記念パーティー開催)
- IT顧問:システム基盤が完成し、CTO採用が完了したら卒業
- 営業顧問:営業組織が確立し、ノウハウが社内に移転できたら卒業
効果:顧問依存から脱却し、自立した組織へ成長。顧問も次のステージの企業を支援できる
他の著名人顧問制度との料金比較
林氏のような実業家だけでなく、近年では様々な著名人が顧問制度を提供しています。2025年の最新事例と料金相場を比較してみましょう。
| 顧問名 | 月額料金 | 特徴・強み | 詳細 |
|---|---|---|---|
| 中村泰二郎 | 33万円 | 建築業界特化・バンビ推薦 | 詳しく見る |
| 東将大 | 20-30万円 | 1on1面談・FC展開支援 | 詳しく見る |
| 南忠則 | 5万円 | 関西版令和の虎・コスパ最強 | 詳しく見る |
| 上野山光雄 | 3ヶ月無料 | Webマーケティング専門 | 詳しく見る |
林氏と著名人顧問の違い
林氏(実業家型顧問)の特徴
- 実務経験重視:実際に東証プライム上場企業を築いた実績
- 長期コミット:SO付与で会社成長を共に目指す
- 組織構築ノウハウ:2000名規模の組織運営経験
- カスタマイズ対応:企業の成長ステージに合わせた支援
著名人顧問の特徴
- 知名度活用:メディア露出・ブランド力を活かした集客支援
- 明確な料金体系:月額5万円〜33万円と幅広い選択肢
- 特化型支援:建築・FC・Webマーケなど専門領域に特化
- 無料トライアル:リスクなく試せる選択肢も(上野山氏)
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ヒカル(月500万円)・入江大生(月500万円)・森泰輝&れい(永久無料)など、2025年の顧問制度ブーム15事例で価格帯別に徹底比較しています。
どちらを選ぶべき?
実業家型顧問(林氏タイプ)が向いている企業
- IPO準備中・上場を目指している企業
- 組織拡大・マネジメント体制構築が課題
- 長期的な成長戦略を描きたい
- 予算に余裕がある(月50万円以上)
著名人顧問が向いている企業
- 特定領域(建築・FC・Webマーケ)の専門知識が必要
- 知名度を活かした集客・ブランディングがしたい
- まずは低コストで顧問を試したい(月5万円〜)
- 無料トライアルでリスクなく始めたい
林氏の顧問活用実例【成長ステージ別】
3-1. 創業期(2000年~2005年):生き残りのための顧問活用
状況
- 資本金1000万円、社員3名のベンチャー
- 林氏はコンサルティング営業は得意だが、財務・法務・ITは未経験
- リクルート時代の人脈はあるが、経営経験はゼロ
顧問活用戦略
①財務顧問の招聘
- 公認会計士・税理士の顧問を月額15万円で契約
- 毎月の試算表レビュー、資金繰り管理、税務対策を指導
- ベンチャーキャピタルからの資金調達書類作成を支援
②法務顧問の招聘
- 弁護士を月額10万円(+案件ごとの成功報酬)で契約
- 顧問契約書・雇用契約書の雛形作成
- クライアント企業とのトラブル対応
成果
- 創業3年目で売上3億円達成
- 2004年に第三者割当増資で5億円調達成功(財務顧問の尽力)
- 法的トラブルゼロで順調に成長
3-2. 成長期(2006年~2015年):上場と事業拡大のための顧問活用
状況
- 2006年東証マザーズ上場達成
- 社員100名突破、売上30億円規模
- 新規事業(人材紹介、研修事業)を次々と立ち上げ
顧問活用戦略
①IPO支援顧問の招聘
- 上場準備経験豊富なCFO経験者を月額80万円+SO 0.3%で契約
- 内部統制構築、J-SOX対応、IR資料作成を指導
- 主幹事証券会社との交渉を支援
②M&A顧問の招聘
- M&Aアドバイザリー経験者を案件ごとの成功報酬で契約
- 研修会社のM&A実行を支援(買収額5億円)
- デューデリジェンス、バリュエーション、契約交渉を主導
成果
- 2006年東証マザーズ上場成功(時価総額100億円)
- 2016年東証一部上場(時価総額500億円)
- M&Aで3社を買収し、事業領域を拡大
3-3. 成熟期(2016年~現在):グローバル展開と次世代育成
状況
- 東証プライム上場企業(売上400億円、社員2000名)
- 国内市場の成長鈍化、海外展開が課題
- 次世代経営者の育成が急務
顧問活用戦略
①海外事業顧問の招聘
- アジア地域で人事コンサルティング経験を持つ外国人顧問を契約
- シンガポール・タイ・ベトナムでの現地法人設立を支援
- 現地パートナー企業の紹介、現地採用支援
②次世代育成顧問の招聘
- 大手企業で役員経験を持つ経営者を社外取締役兼顧問として招聘
- 次世代幹部候補(30代~40代)への経営指導
- 年4回の「次世代リーダー合宿」で講師を担当
成果
- アジア4カ国に現地法人設立、海外売上50億円達成
- 次世代幹部10名が事業部長・子会社社長に昇格
- 林氏自身は代表取締役会長に退き、後継社長が誕生
林氏から学ぶ顧問活用7つの教訓
4-1. 教訓①:自分の弱点を認め、専門家に頼る勇気
林氏の言葉:「私は財務も法務もITも素人だ。だからこそプロに頼る。経営者の仕事は『自分が何を知らないかを知ること』だ」
実践方法:
- 自分のスキルマップを作成(得意/不得意を可視化)
- 不得意領域の顧問候補リストを作成
- 「できるふり」をせず、率直に相談する姿勢
4-2. 教訓②:顧問は「先生」ではなく「パートナー」
林氏の言葉:「顧問は『教えてもらう人』ではなく、『一緒に考える人』だ。対等な関係でなければ本音は聞けない」
実践方法:
- 顧問との打ち合わせでは必ず自分の考えを先に述べる
- 顧問の意見に反論することも躊躇しない
- 「言われたことをやる」ではなく「一緒に考える」姿勢
4-3. 教訓③:定例ミーティングで信頼関係を構築
林氏の言葉:「『困ったら連絡』では絶対に連絡しない。定例化することで小さな相談もできるようになる」
実践方法:
- 月1回以上の定例MTGを必ず設定
- 議題がなくても近況報告は行う
- 雑談の時間も大切にする(信頼関係は雑談から生まれる)
4-4. 教訓④:顧問の人脈を最大限活用する
林氏の言葉:「顧問の最大の価値は知識ではなく人脈だ。良い人を紹介してもらうことで、会社は10倍速く成長する」
実践方法:
- 毎回のMTGで「紹介してほしい人」を具体的に依頼
- 紹介を受けたら必ず結果をフィードバック
- 紹介者への感謝を忘れない(謝礼や食事会)
4-5. 教訓⑤:ストックオプションで長期コミット確保
林氏の言葉:「顧問料だけでは『仕事』。SOを渡せば『仲間』になる。一緒に上場を目指す仲間を増やすことが成長の鍵だ」
実践方法:
- 重要顧問には0.1%~0.5%のSOを付与
- ベスティング条項(3年継続で権利確定)を設定
- 上場時の価値を試算して提示(モチベーション向上)
4-6. 教訓⑥:顧問の知見を社内に移転・蓄積
林氏の言葉:「顧問に頼りっぱなしでは会社は育たない。顧問の知識を社内に移転し、自立することが目標だ」
実践方法:
- 顧問MTGの議事録を必ず作成・共有
- 顧問に社内勉強会の講師を依頼
- 顧問の知見をマニュアル化・ナレッジベース化
4-7. 教訓⑦:役割が終わったら潔く卒業させる
林氏の言葉:「顧問は永遠ではない。役割が終わったら感謝を込めて卒業してもらう。それが顧問への敬意だ」
実践方法:
- 契約時に「卒業の条件」を明示(例:CFO採用完了時)
- 卒業時には退任記念パーティーを開催
- 卒業後も個人的な関係は継続(年賀状・誕生日祝い)
林氏の手法を自社で実践する5ステップ
ステップ1:自社の弱点分析
まず経営陣で「自社の弱点」を洗い出します。
- 財務・会計・税務
- 法務・労務・コンプライアンス
- 技術・IT・DX
- 営業・マーケティング
- 人事・採用・育成
- 海外事業・グローバル展開
各領域を5段階評価し、スコア2以下の領域に顧問が必要です。
ステップ2:顧問候補の探索
弱点領域の専門家を探します。
- 人脈経由:既存の顧問・投資家・取引先に紹介を依頼
- 顧問紹介サービス:ビザスク、サーキュレーション等を活用
- LinkedIn:専門家に直接コンタクト
- セミナー・勉強会:講師として登壇している専門家にアプローチ
ステップ3:3ヶ月の試用契約
いきなり1年契約ではなく、3ヶ月の試用期間を設けます。
- 月額報酬は本契約の70%程度に設定
- 月2回の定例MTGを実施
- 3ヶ月後に双方で評価し、本契約への移行を判断
ステップ4:定例MTGルールの確立
本契約後は定例MTGのルールを確立します。
- 頻度:月1~2回(重要度に応じて)
- 時間:1回2時間
- 場所:オンライン or 対面(顧問の都合に合わせる)
- 事前準備:48時間前に議題・資料共有
- 議事録:必ず作成し、次回までの宿題を明確化
ステップ5:半年ごとの効果測定
半年ごとに顧問活用の効果を測定します。
- 定量評価:紹介人数、解決した課題数、削減したコスト
- 定性評価:経営陣の満足度、顧問との信頼関係
- ROI計算:顧問料に対する効果(売上増、コスト減)
効果が薄い場合は、契約更新せず別の顧問を探すことも検討します。
まとめ:林敏之氏に学ぶ顧問活用の本質
林敏之氏の顧問活用術の本質は、「自分の弱点を認め、専門家の力を借りて成長を加速させる」という謙虚さと戦略性にあります。
林氏の顧問活用術 7つのポイント
- 弱点補完型:自分の弱みを顧問で補う
- 実務家重視:理論家ではなく実績ある実務家を選ぶ
- 定例化:月1回以上の定例MTGで信頼関係構築
- SO付与:ストックオプションで長期コミット確保
- 知識移転:顧問の知見を社内に蓄積
- 人脈活用:紹介を積極的に依頼
- 段階的卒業:役割が終わったら潔く卒業
これらの手法は、スタートアップから大企業まで、あらゆる企業規模・成長ステージで応用可能です。